IoTでオリンピックもスマートに

オリンピックはイノベーションに挑戦する絶好の機会です
IoT for the Olympics

IoTでオリンピックもスマートに

1964年の夏季オリンピック東京大会(第18回オリンピアード競技大会)はアジアで開催された最初のオリンピックでした。

この東京大会では史上初の国際テレビ放送が導入され、4年前のローマ大会のように海外にテープを送る必要はなくなりました。競技の模様は静止衛星シンコム3号を通じて米国へ、さらに米国で受信した映像は人工衛星リレー1号でヨーロッパへと届けられました。

日本国内のみではあるものの、当時最先端のカラー伝送システムを使用して、カラーテレビで放送された最初のオリンピックでもあり、同じく初めて導入されたスローモーションは、競技での微妙な結果をその場で確認でき、その後のスポーツ中継で欠かせない放送技術となりました。

また、日本とハワイを結ぶ初の太平洋横断通信ケーブル「TRANSPAC-1」は、1964年6月に完成しました。それまでは日本から海外へのほとんどの通信は短波を介して行われていました。

Shinkansen 1964

東京から新大阪までを結ぶ世界初の高速鉄道(東海道新幹線)も高度経済成長期のシンボルとして開業されました。最初の列車はオリンピック開幕9日前の1964年10月1日に東京駅を出発し、名古屋、大阪までの515キロの距離を約4時間で走り抜けました。(現在、のぞみは最短2時間21分で走行)

あれから56年。21世紀のいま、世界有数の技術大国となった日本が掲げる2020東京オリンピック/パラリンピックのスローガンは「Discover Tomorrow  〜未来(あした)をつかもう〜」です。

東京2020オリンピック/パラリンピックは2021年に延期されましたが、オリンピックだけでも計339の種目、およそ206の国から11,000人のアスリートの参加が予定されています。

約780万枚のチケットのうち450万枚は日本国内向けに販売され、残りの枚数は海外向けに販売される見込みです。つまり海外からの訪日客は少なくとも2~3百万人にのぼり、さらに観光のみで同行する家族などを含めると、その3倍ほどの数になる可能性があります。その場合、特に宿泊施設、交通機関、ごみ処理業務などのインフラが逼迫するおそれがあります。

※上記は2020年7月28日時点での情報です。

同じようにセキュリティも懸念事項ですが、パッセンジャー(人数)カウントやリスクアセスメントといった高い技術でのアプローチにより、これまでにはなかった混雑状況への対策をとることができるかもしれません。

それでは、日本の最新テクノロジーがどのように東京2020オリンピック/パラリンピックをサポートするのか、モノのインターネット(IoT)の導入例について見てみましょう。

鉄道路線

 

世界で最も複雑かつ過密と言われている東京の公共交通機関(鉄道、バス、モノレール等)を安全かつスケジュール通り運行するためには、革新的な技術統合ソリューションが不可欠です。

都心で運行されているJR山手線は2〜4分間隔で各駅を発着し、1週間に3,400万人が利用をしています。その山手線も停車する新宿駅は毎日350万人が乗降する世界でも最も混雑する駅です。このような高い稼働状況において、定期的なシステムメンテナンスは極めて重要です。

そこでシステムの中断などを最小限に抑えるためにIoTベースのスマートメンテナンスシステムが導入されています。例えば鉄道車両の屋根部分と、車両下部にそれぞれセンサを設置し、架線と線路の状態をデータ化。収集したデータはデータサーバに送られ、さらにメンテナンスセンターのスタッフへと転送され、故障の防止に役立てられています。

現在はAI(人口知能)での故障予測や、ドローンを活用した設備メンテナンスの開発が進められています。

エネルギー管理

 

2011年の東日本大震災では深刻な電力不足となり、より適応力と復元力のあるスマートグリッドの必要性が再認識されました。

東京都はスマートエネルギー都市に向けて、スマートメーターやコージェネレーションシステムなど、家庭や企業でのエネルギー利用の効率化、最適化に資する取り組みを進めており、これらのIoTデバイスを介して収集されたデータの活用は、すでに新しい省エネ対策を支えています。東京都環境局によると、2010年から2017年の間に、12,000の登録施設でCO2排出量を27%削減したとの報告があります。

さらに脱炭素社会へ向けて策定されたゼロエミッション東京戦略では、東京五輪後に選手村を一大水素タウンへと改装、整備する予定で、こうした先進的な取り組みは、国や行政だけでなく企業や消費者の環境への取り組みにも影響を与えることでしょう。

Mobility-as-a-Service (MaaS)の活用

 

東京2020オリンピック/パラリンピックオフィシャルパートナーのトヨタ自動車は、会場及びその周辺で運用される燃料電池車や電気自動車など約3,700台を提供します。これらの提供車両に占める電動車比率は約90%にものぼるとのことです。

一部のEV (e-Palette自動運転シャトルやConcept-愛iスマートカーなど)はレベル4の自動運転に相当し、東京五輪専用仕様車となっています。

e-Paletteは、自律型モビリティサービス(MaaS)に対応しており、選手村を巡回し選手や大会関係者の移動をサポートします。各車両に1人オペレーターが搭乗し、自動運転による運行をモニタリングするとともに、各車両の運行状況を統合的に管理するシステムも提供されるとのことです。

https://www.autonomousvehicleinternational.com/news/concept-vehicles/toyota-to-provide-autonomous-shuttle-service-for-tokyo-olympics-2020.html  >

Toyota Autonomous e-Palette
Toyota autonomous vehicle (https://global.toyota/en/newsroom/corporate/29933371.html)

Eurotechが提案するIoT ソリューションとは

Intelligent Sensor & Analytics

ここまで見てきた通り、東京をはじめとしたスマートシティへの推進は、オリンピックの開催によってさらに拍車がかかると考えられます。1つのアイデアとしては、分析機能を備えたビデオモニタリングシステムの普及です。交通機関の管理や乗降客のカウントレポートなど、よりスマートなビデオセキュリティシステムでは、インテリジェントセンサーを接続した高性能データロガーからデータを取得し、時刻やその他の変数換算によってさまざまなアクティビティの分析を行うことができます。

Eurotechでは、そうした組込IoT環境向けに各種コネクティビティ及びデータ管理アプリケーション対応のスマートセンサーやデバイスをリリースしています。

Eurotechのパッセンジャー(人数)カウントシステムは、バス、電車、ビル、その他のアクセスモニタリングをしたい場所の出入口の上部に設置が可能です。

パッセンジャーカウンター 「DynaPCN 10-20」は、非接触3D技術を駆使し、人間の顔ではなく人体の形状を感知するためプライバシーを100% 保証します。形状はコンパクトで扱いやすく、低消費電力で環境にも優しい製品です。

IoTやクラウドのインフラを組み込むことで、公共交通機関の運行最適化を目的とした人数管理アプリケーションとの統合が可能となり、乗客の流れに応じて列車やバスの路線やスケジュールを調整できるようになります。

また、さまざまなインテリジェントセンサーと接続した高性能のHPECデータロガーを使用することにより、以下のようなケースに対応が可能です。

(※HPEC = High Performance Embedded Computing)

  • 環境品質、汚染、有毒ガス、火災、地震、人為的災害のリアルタイム分析
  • 災害時に避難する必要のある人数の把握
  • 緊急時の自家用車の避難経路や通路の把握

5GでもHPEC

 

いま最も旬なテーマである5Gは、分散型カメラネットワークとスマートスタジアムの超高速通信によってイベントのライブフィードを可能にし、仮想現実(VR)にイノベーションをもたらすことでしょう。MEC (Mobile Edge Cloud) はまさにHPECであり、コアネットワークから大量のトラフィックをオフロードするために必要不可欠なものとなるはずです。

data flow

MECがエッジで運用する5Gの主要サービス

  • ネットワーク機能の仮想化
  • キャッシング
  • AI(推論トレーニング)
  • 非ネットワーク、特定アプリケーション

Eurotech のHPECはデータセンターからエッジコンピューティングへのマイグレーションをサポートします。

  • レイテンシー(端末側)の短縮
  • コアネットワークのレイテンシーの短縮
  • 地域コンテンツ配信の最適化