LoRaWAN入門ガイド​​​​​​​

LoRaWAN入門ガイド​​​​​​​

LoRa(Long Range)とは

「LoRa」とは「Long Range」の略称で、アメリカのセムテック社が開発した無線の変調方式です。元々はフランスの CyCleo社が取得した、チャープスペクトラム拡散技術に基づくスペクトラム拡散変調方式のオリジナル特許を、LoRaアライアンス創設メンバーの セムテック 社が買い取り、 LoRa 通信チップを商品化しました。

LoRaは無線送信の際にチャープベースのマルチシンボルフォーマットで情報をエンコードします。これはセムテックの独自システムですが、オープン化されており、 LoRaの技術仕様は他のチップメーカーにもライセンスされています。基本的にこれらのチップはLoRa(またはFSKなどの他の変調タイプ)で周波数をビットに変換できるISM (Industrial, Scientific and Medical)  バンドの無線用チップで、無線システムを実装するためにコードを記述する必要はありません。 LoRaは広域でのアプリケーションに適した物理層の技術です。

LoRaWANとは

LoRaWANとは、LoRa変調方式を採用したオープンなポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク規格の名称です。(仕様上はFSK変調を利用することも認められています)

LoRaWANは、低電力かつ広域(LPWA: Low Power, Wide Area)ネットワーク向けのプロトコルで、電池駆動の「モノ」を地域や国内、あるいはグローバル規模のネットワークに無線接続できるように設計されています。IoTに求められる双方向通信や、エンドツーエンドのセキュリティ、モビリティ、ローカリゼーションといったサービスに最適です。

LoRa (Bandwidth - Range)

LoRaWANの仕様では、デバイスからインフラストラクチャ(LoRa)の物理層パラメータと(LoRaWAN)プロトコルを定義しており、デバイス認証プログラムによって、異なるメーカのデバイス間でもシームレスな相互運用性を実現します。

技術的な実装については仕様上で定義されていますが、実際のビジネスモデルやデプロイの方法(パブリック、シェアリング、プライベート、エンタープライズ)の定義はされていません。よって、あらゆる産業において革新性や差別化をもたらす自由度があります。

LoRaWANはLoRa アライアンス によって開発や普及が進められています。M2M テクノロジーと IoTプラットフォームにおけるリーディングプロバイダのEurotechは、LoRaアライアンスのアダプターメンバーです。

LoRa アライアンスは産業界を代表する企業で構成されたオープンな非営利団体で、LPWAN(=Low Power Wide Area Networks=低電力広域ネットワーク)の標準規格化や、世界中のIoT、M2M、スマートシティ、あるいは産業アプリケーションにおけるLPWANの実現をミッションとしています。LoRa アライアンスの加盟企業/団体は、オープンなグローバルスタンダードとしてのインターオペラビリティ(相互運用性)の知見や経験を共有し、LoRaWANの普及推進に向けて協力をしています。

セキュリティ

LoRaで接続したデバイスとゲートウェイのデータトラフィックは、AES暗号方式で保護されます。また、ネットワークセキュリティはネットワーク内のノードの信頼性を確立し、セキュリティのアプリケーション層は、ネットワークがクラ​​ウドに接続している場合でも、ユーザのアプリケーションデータをアプリケーションが稼働しているシステム内で維持します。

LoRa物理層のロングレンジ特性を生かした無線通信では、エンドデバイスと1台以上のゲートウェイ間のシングルホップリンクが可能です。サブギガ帯の利用によって長距離通信が可能となり、最大10 Km先のデバイスとつなぐことができます。

IoTを展開するにあたり最も優先されるべき事はセキュリティです。LoRaWANでは2つの暗号化の層を定義しています。

  • エンドデバイスとネットワークサーバー間で共有される128ビットネットワークセッションキー(NwkSKey)
  • アプリケーションレベルのエンドツーエンドで共有される128ビットアプリケーションセッションキー(AppSKey)

 

AESアルゴリズムは、ネットワークサーバにはパケットの認証と完全性を、アプリケーションサーバにはエンドツーエンドの暗号化を提供します。これら2つの層により、ネットワークオペレータにペイロードの可視性がなくても、「マルチテナント型」の共有ネットワークを実装することが可能になります。

これらのキーのアクティベーション方法は2つあります。

ABP (Activation By Personalization):

端末固有の番号を使用して工場出荷時にエンドデバイスをアクティベーションします。

OTAA (Over-The-Air Activated):

エンドデバイスがネットワークに最初に接続したときに接続要求を行います。

LoRaWAN 拡張モジュール

ReliaWAN 10-12はLoRaWAN用の拡張モジュールです。EurotechのマルチサービスIoTゲートウェイ ”ReliaGATE 10-12” に取り付けて 利用します。

ReliaWAN 10-12

マルチチャネル高性能トランスミッタ/レシーバの セムテック “SX1301” データコンセントレータを採用しており、あらゆるクラウドアプリケーションとスムーズに連係できるとともに、既存のLoRaインフラとも互換性が有ります。

産業利用に耐えうる-20℃~+70℃の動作温度範囲を保証しているほか、ABS筐体により耐衝撃性にも優れています。コンパクトなデザインのため場所に制約がある場合でもデプロイが可能です。

ReliaWAN 10-12はグローバルデバイスとして、欧州および北米のISMバンドをサポートしています。電波の距離は、遮断物がない環境であれば最大15 km 、複数の建物がある都市部などの環境では、半径2 km 程度の範囲となります。

また、干渉抑圧 とダイナミック・リンク・アダプテーションにより、混雑したネットワークでのパフォーマンスが飛躍的に向上するほか、同じチャネル上で複数のユーザーが使用できるリッスン・ビフォー・トーク で、更なる効率化を実現します。

ReliaWAN 10-12は、コマーシャル/エンタープライズ版のEclipse Kura で構成されたEveryware Software Framework(ESF)と、IoTゲートウェイ向けのオープンソース Java / OSGiミドルウェアに対応しています。

ESFはEurotechがリリース及びサポートしており、EurotechのIoT統合プラットフォームEveryware Cloud(EC)とのインテグレーションによって、より高度なセキュリティやデバイス診断、プロビジョニング、リモートアクセスなどの機能が利用可能です。

特長

ReliaGATE用LoRaモジュール

EurotechのIoTゲートウェイ ReliaGATE 10-12の外付けモジュールとしてゲートウェイにLoRaWANを付加できます。

ロングレンジ

障害物や遮断物がない場合の電波距離は15km(都市部では2 km)です。欧州のISM送信電力/デューティサイクル制限をサポートしています。

ISM バンドスキャン

パフォーマンスの最適化:エンドノードの周波数を変更し、干渉抑圧 とダイナミック・リンク・アダプテーション を改善します。

産業用途

コンパクトで堅牢型のデザイン。高信頼性のターミナルブロックインタフェースを採用し、拡張動作温度を保証しています。

オープンプラットフォーム

IoT ゲートウェイ用のEveryware Software Framework(ESF)とIoT Java / OSGiベースのミドルウェアに対応しており、迅速なゲートウェイ開発とリモート管理を可能にします。

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