2021/11/05 5Gとエッジコンピューティング~高性能エッジコンピュータとIoTで実現するエッジAI~
5Gの普及が、さまざまな業界に新しい機会をもたらしていますが、5Gの重要な側面の一つとして、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)を有効にし、インテリジェントなソフトウェア層でのデータ及びデバイス管理を容易にすることが挙げられます。
5Gのポテンシャルを活かす鍵となるのは、ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーション、ネットワークコンポーネントなどのオープンエッジエコシステムです。これによってプライベート5GネットワークやオープンRANインフラストラクチャが、データソースのより近くでIoTやAIアプリケーションを実行できるようになります。
大量のデータを高速で転送する5Gでは、コアネットワークの負荷を軽減し、データのローカル管理を向上させる、エッジノードの適切なインフラが必要となります。ここでエッジコンピューティングが重要な役割を果たします。
オープンな標準ベースのソリューションを可能にし、ベンダロックインなしの5Gアプリケーションの開発と展開を加速させるため、EurotechはO-RANアライアンスに参加しています。 Eurotechが持つ高性能エッジコンピューティング(HPEC)システムや、IoTハードウェア、及びIoTソフトウェアコンポーネントが5Gの新たなソリューションを実現します。
EurotechがO-RANアライアンスに参加、エッジでのスケーラブルな5Gネットワークアプリケーションの開発と展開を加速
オープンスタンダードベースのソリューションに対するEurotechの取り組みは、さまざまなプレーヤによって個別に管理されているネットワークを相互接続できるようにし、RANの効率を向上させるというO-RANアライアンスのミッションにとても適しています。 これにより顧客やネットワークオペレータ、またベンダが相互運用可能で柔軟なインフラを利用できるようになり、イノベーションが促進され、5Gネットワーク上でのエッジ/クラウドネイティブ・アプリケーションの開発と展開が加速されます。
高性能GPUエッジコンピュータによるプライベート5Gネットワークと仮想化Open RAN
高性能エッジコンピューティングとは、サーバやデータセンタークラスの機能を現場のコンピューティングデバイスに用いることです。 センサやデバイスの数が増えることで生成される大量のデータを処理するには、高いコンピューティング機能、大容量のストレージ、広いネットワーク帯域幅が必須となります。
産業用途向けなど、厳しい環境条件下で運用をする場合、そうした高い機能をエッジへと展開するには、規格に準拠しており、信頼性の高いパフォーマンスが保証された堅牢型ファンレスシステムを利用します。
ファンレスのため、空冷のスペースを確保できないアプリケーションにも使用できる上、液体冷却システムと統合すれば計算密度(Computational density)を高めることができます。
これらのエッジノードは、高性能サーバクラスのコンピューティング、仮想化、データロギング、ネットワーキングの機能によって、同じハードウェア上で実行されるハイパーコンバージド環境で複数の仮想化アプリケーションとRANインフラを実行し、プライベート5Gのデプロイを可能にします。
フィールドデバイスのリモート設定を可能にするIoTエッジプラットフォーム
Eurotechのハードウェアは、自社のエッジソフトウェアスタック Everyware Software Framework (ESF) を搭載しています。このIoTエッジフレームワークは、エッジ・アプリケーションの開発と展開を加速し、フィールドデバイスのリモート管理に必要なクラウドとの統合を簡素化します。
ここでは仮想化が行われ、OT(Operational Technology)のインフラとIT(Information Technology)のアプリケーションがブリッジされます。 データの取り込みや、エッジ/デバイス管理の操作を統合するための認定されたノースバウンド接続機能も同様に重要となります。
ここでのサービスとセキュリティは、リモート構成管理やOTAアップデートなどのデバイス管理機能を介してのみ提供されますが、EurotechのIoTエッジ管理プラットフォーム Everyware Cloud (EC) は、これらの要件を満たすことができます。
マルチアクセス・エッジコンピューティングと5GがエッジAIを実現
マルチアクセス・エッジコンピューティング(MEC)は、ネットワークのエッジでクラウドコンピューティングやITインフラストラクチャ、及びそのサービスを提供するものです。Eurotechの堅牢型ファンレスエッジサーバは、エッジにおいてハイパーコンバージド・インフラストラクチャの機能を持ち、過酷な使用環境下においてもITとOTを簡単かつ迅速に統合できます。
マルチアクセス・エッジコンピューティングは、エッジで大量のIoTデータを収集して処理する分散型エッジサーバ/エッジノード間の5Gネットワークトラフィックを管理するための理想的なソリューションで、主な利点は次のとおりです。
- レイテンシーの短縮
- コアネットワークからのヘビートラフィックのオフロード
- リージョン・コンテンツ配信の最適化
- ネットワーク仮想化(NFV)、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)キャッシング、AI、非ネットワークアプリケーションなどの重要なサービスをエッジで実行
5Gとエッジコンピューティングを組み合わせる利点
5Gネットワークの台頭は、既存のインフラとの統合や、帯域幅の増加による大規模データの管理に対する多くの課題をもたらしており、ミッションクリティカルなアプリケーションでレイテンシーを短縮するためにエッジコンピューティングが不可欠となっています。
Eurotechの高性能エッジコンピューティング・コンポーネントを導入することで、お客様はITドメインとOTドメインを簡単に統合でき、エッジで仮想化された5GまたはRANインフラを可能にし、同じハードウェアプラットフォームで実行されるさまざまなアプリケーションのハイパーコンバージド・インフラで作業することができます。
そして、多くの業界において、AI、IoT、仮想化、5G、エッジコンピューティングの統合の恩恵を受けることができます。
- 産業オートメーション
- テレコム・OTT(Over-The-Top)ストリーミングサービス
- 石油・ガス
- 災害復旧・防衛
- 自動車・輸送
産業オートメーション:5Gとエッジコンピューティングによるリアルタイムアプリケーション
高度なロボティクスなどのミッションクリティカルな産業用アプリケーションでは、破損や誤動作を回避するために、クリティカルイベントに迅速に対応する必要があります。
5Gはデータや情報のやり取りを高速化し、レイテンシーを大幅に短縮し、事故を回避するための即時対応を可能にします。5Gでは大量のデータを転送できるため、超高速のデータロギングを維持するためには、適切なハードウェアインフラが必要です。
サーバクラスのデータロギング容量をデータソースに近づけることで、ますます多くの工場がオートメーションを実現することができます。Eurotechの高性能エッジコンピュータはそのようなアプリケーションに最適です。
テレコム・OTTストリーミングサービス
5Gネットワークを適切に運用するためには、通信事業者はエッジに多くの基地局を設置し、膨大な帯域幅からコアネットワークの負荷を軽減する必要があります。 また、OTT(Over-The-Top)ストリーミングサービス事業者は、データストリームのローカル管理をより良くするために、確固としたエッジサーバインフラに依存せざるを得ません。
Eurotechは、ハードウェア・ソフトウェア両方のコンポーネントでスケーラブルかつオープンエッジのエコシステムを提供し、幅広いアプリケーションのニーズに応えます。 オペレータは、エッジノードの分散ネットワークを構築して、仮想化RANインフラをエッジで実行し、より高速で効率的なデータの取得と管理を行うことができます。
結果として、より高速で効率的なデータストリーミングが可能となり、通信や映像の品質が向上します。
石油・ガス向けの5Gプライベートネットワーク・アプリケーション
マルチアクセス・エッジコンピューティングは石油・ガス業界において特に有益です。多くの場合、石油プラットフォームは遠隔地にあります。事業者のデータセンターから遠く離れた場所にある石油プラットフォームの運用効率と収益性を高めることができればそのメリットは大きなものとなります。
一般的なプラットフォームでは、1日あたり約2 TBのデータが生成されますが、これらのデータをすべて転送するには莫大なコストがかかります。また、データは従来、衛星ネットワークによって管理されており、すべてのデータをデータセンターへと転送するには何日もかかります。
これらの遠隔地にプライベート5Gネットワークを構築すれば、データがエッジで完全に処理されるため、転送速度が向上し、レイテンシーも減少、日々の業務を大幅に改善することができます。 極端に高い温度にも耐え得る堅牢型エッジコンピュータによってデータセンターのインフラを可能にすることは、そうした過酷な条件下でデータを管理するのに理想的とも言えるでしょう。
災害復旧と防衛
防災復旧でも5Gとエッジコンピューティングは極めて重要な役割を果たします。 被災者を救助するために、利用しやすく安全なネットワーク通信をセットアップあるいは復元するには、携帯しやすく、かつ堅牢なコンピュータが必要です。 被災地域とメインデータセンターの間に高性能エッジノードを用いることにより、迅速に復旧作業を進めることができます。
また、防衛の分野では、ネットワークインフラを速やかにセットアップないしは解体する必要があります。 Eurotechの高性能エッジコンピュータは、車内に設置できるドッキングステーションを採用しているため、簡単に取付けや交換をすることができます。
自動車・輸送
交通機関や自動車のアプリケーションでは、通信の遅延は非常に重要な問題です。 カメラ、RADAR、LIDARなどの高度なオンボードセンサは、非常に短いスパンでテラバイトのデータを生成します。
これは、msec(ミリ秒単位)の遅延でさえ致命的となる場合があります。例えば、時速130kmで走行する車両は10msecで約30cm進むため、車載システムが迅速に応答せず、適切なタイミングで停止できなければ、大きな事故となる可能性があります。
Eurotechの高性能エッジコンピュータの5G及びエッジコンピューティング機能は、そうした重大な局面をカバーするための、これまでにはなかった高速データロギングを可能にするのです。
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