Advme8088 Semiconductor Manufacturing

バランスのとれたアプローチで、半導体製造装置に新たな息吹を吹き込む

insight.techにアドバネットのインタビュー記事が掲載されました。

—原文和訳—

半導体製造装置は、一台あたりの平均価格が100万ドルを軽く超える、世界で最も高価な装置です。極端紫外線(EUV)スキャナのような特殊な装置であれば、数億円はかかるでしょう。

近年、半導体メーカーの設備投資が相次いでいるのはご想像のとおりです。たとえ初期投資が不十分だったとしても、二次市場によってこの先何十年もライフサイクルを延ばすことが可能です。

このような状況から、半導体製造装置の所有者やメーカーが、できるだけ長期間ベストな状態で装置を稼働させたいと考えるのは言うまでもありません。

何世代も前の装置で世界最先端の技術が生産されているエレクトロニクス業界では、このようなニーズが高まっています。もちろん、これらの装置は他の電子機器と同様にアップグレードが可能ですが、装置の老朽化が進むにつれて、最新の性能基準に合わせた装置の改造が大きな課題となっています。

例えば、数十年前の露光機(ステッパー)に最新の電子ビーム装置やEUV装置を追加すれば、シリコントランジスタを小型化したチップを製造することができます。ただし、そのためには機器の制御装置間で大量のデータを限られた時間でやり取りできるよう、システムの処理能力を大幅に向上させる必要があります。

半導体製造は前世代から次世代へ

アップグレードにかかる費用をカバーするため、半導体製造装置メーカーは、長年にわたりVMEなどの規格を中心に制御システムを設計してきました。

1980年代初頭に開発され、複数のベンダーから提供されているVME規格は、一貫したPCB、コネクタ、信号システムを定義しており、損傷やアップグレードが必要な場合に既存の基板から新しい基板へ交換することができます。

つまり、従来のVME制御基板を、新世代の半導体製造装置が要求する帯域を満たすことのできるVME制御基板に置き換えることが可能なのです。しかし、この性能を生かすには、単に高性能なプロセッサを搭載したボードを装置に組み込むだけでは不十分です。

アドバネットは、半導体製造装置のような最先端装置に組み込む産業用ボードのODMを得意とする会社で、2011年にEurotechグループの傘下に入りました。日本を拠点に、世界有数の半導体製造装置メーカーに最新技術を搭載した産業用ボードやシステムを提供しています。

アドバネットのプロダクト・マーケティング部門の責任者であるLuca Varisco(ルカ・ヴァリスコ)氏はこのように話しています。

装置には30年変わることのない部分もあります。一方で、使用する紫外線の波長が短くなるのに合わせて、頻繁に変更が必要となる、とても高度な部分もあります。扱う波長が短くなればなるほど、紫外線を集光する機械の制御が必要で、CPUもより先進的なものでなければなりません。つまり、30年前のVME技術と最新のCPU技術のバランスを取らなければならないのです。これが、私たちアドバネットが得意としている技術の一つです。例えて言うなら、恐竜の体に超天才の頭脳を搭載している、といった感じです。

そのバランスを取るために、I/Oサブシステムが大きな役割を担っています。

I/Oサブシステムは、低速インタフェースと高性能プロセッサの間でデータがスムーズに処理されるという点を維持しつつ、CPUとともに進化していかなければなりません。

これと同時に、制御装置全体が2000年代以前のシステムの消費電力と放熱の基準に収まっていなければなりません。

チップを作るのはチップ

アドバネットは、運用の安定性とライフサイクルの長さに重きを置いた、大手半導体製造装置メーカーの電子ビーム露光装置に組み込まれた制御サブシステムのアップグレード案件を受注しました。

この制御サブシステムの主な役割は、リソグラフィ装置の電子ビームをターゲット基板に集光するレンズの焦点合わせです。これをnmスケールの精度で行うには、非常に高い計算能力と、装置周辺の制御エンドポイントの調整が必要です。装置の周りには、制御システムとの接続が必要な部品が無数に存在しています。

アドバネットは、Intel® Xeon® D-1700プロセッサ(Ice Lake D)を搭載した製品の開発に着手し、Advme8088を完成させました。Advme8088は、6Uサイズ、1スロット幅のVMEボードで、最大4コアのXeon D-1700プロセッサを搭載したTDPが50W以下の製品です。

アドバネット製品は、Serial RapidIO Gen 2、PCI Express Gen 3、複数のギガビットイーサネットポートなど、最新のインタフェースに加え、信頼性の高いVMEコネクタも搭載しています。

リソグラフィ制御サブシステムは、バックプレーン方式で、VMEシャーシにAdvme8088を8〜12枚、同じくアドバネットが開発したカスタム光学ボード2〜3枚、さらに電源で構成されています。Advme8088のようなボードは、VMEコネクタを使ってバックプレーンに差し込み、ボードとマシン内の部品との間で信号を伝えています。バックプレーンに搭載されたFPGAは、VMEバス・コントローラとして柔軟に対応し、信号の事前準備を行います。

一方、アドバネット製品の最新インタフェースは、搭載されたXeon D-1700プロセッサの能力を最大限に引き出します。例えば、リソグラフィ制御サブシステム案件では、Xeon D-1700がサポートし、Advme8088のギガビット・イーサネット・インタフェースと連動するように設定されたIntel® Time Coordinated Computing (Intel® TCC)が、制御エンドポイント間を流れるイーサネット・パケットを200μs以下のレイテンシで同期させています。

この制御ネットワークは、電子ビームレンズの位置や向き、装置内の別の機能も管理しています。

従来の露光機に新たな息吹を

性能に対する飽くなき要求にもかかわらず、多くの制御システムの心臓部に位置するVME製品は、当分の間、半導体製造装置に搭載され続けることでしょう。

もちろん、どれだけクリエイティブでも、たとえ標準化されていたとしても、技術は徐々に衰退します。その証拠に、リソグラフィ制御システムのバックプレーンのFPGAは、供給が減り価格が高騰しているVMEバスコントローラチップの代替品として使用されています。

このため、Xeon D-1700プロセッサは、7年以上サポートされる、拡張温度、長寿命の組み込み型も利用可能です。また、アドバネットとしては、自社ソリューションの数十年にわたるサポートを約束しています。

VMEを見ると「30年前の技術?」と思われるかもしれませんが、実はこれこそが半導体市場に足りない、手放すことのできないものなのです。

とLuca Varisco氏は話しています。

結局のところ、誰も捨てたくないのです。一次市場と二次市場を考えると、数100万ドル規模の装置の一部なのですから。

関連製品:Advme8088

Advme8088

VXS™/VMEbus™ CPU Board
Intel® Xeon® D-1700 Processor

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 Advme8088は、Intel® Xeon® D-1700プロセッサシリーズを搭載した6U 1スロット幅のVMEフォームファクタCPUボードです。多くの産業機器で広く使用されているVMEフォームファクタを採用しているため、既存システムアップグレードにかかるお客様の工数や開発期間を短縮することが可能です。

 

Intel® Xeon® D-1700プロセッサシリーズはより多くのコアや高速インタフェースを搭載しており、同時に多くの入力や処理を扱うアプリケーションに最適です。

 

VXS™コネクタおよびXMCコネクタへ接続されているSerial RapidIO®インタフェースは、ペリフェラル基板や外部機器とのシームレスな高速通信を可能とします。

 

2スロットのXMCスロットはいずれもPCI Express® Gen3 x8で、CPUと接続されており、高速なネットワークインタフェースやアクセラレータをサポートしています。

 

オンボード実装のRAMを備えているため、高い信頼性や耐振動性が要求されるアプリケーションにも最適です。

  • Intel® Xeon® D-1700プロセッサシリーズ搭載
  • ECC対応DDR4-2400 16GB max デュアルチャネル、オンボード実装
  • XMC/PMC 2スロット
  • M.2(PCIe3 x4/SATA) 
  • ギガビットイーサネット 2ポート
  • VME64x、2eSSTに対応
  • VXS™ P0コネクタ装備
  • Serial RapidIO® Gen2 4x 2ポート
  • 6Uサイズ、1スロット幅
  • 5V単一電源で動作
  • VxWorks®7